2016年1月26日火曜日

甘藍



昨日はたぶん生まれて初めてロールキャベツを作りました。料理するときはなるべくわざわざ買い物に行かずそのとき家にあるもので何とかする派なので、冷凍庫のひき肉とキャベツ一個半を前に、手間がかかりそうでずーっと敬遠してきたけど、仕方ないやってみるか!と覚悟を決めて取りかかったらば、そんなに大変じゃなくてしかも意外に楽しかったです。高山なおみさんレシピを参考に、ないものは省いてあるものでいい加減に作ったけど、それなりに美味しくできたし、芯をくり抜いたキャベツを丸ごと茹でて外側から一枚ずつはがしたり、「こんなもんかな?」と適当にタネをくるんでやや小さめの土鍋にきっちり詰めたりとか、なんか遊んでるみたいで愉快でした。作り終えて、このままロールキャベツを作らない人生で終わらなくてよかった、という思いが頭をよぎるほど。案ずるより産むが安しでした、ロールキャベツまた作ろう。

そしてコートはおってマフラーぐるぐる巻きにして近所の公園まで散歩して、お気に入りの一角で、陽が落ちたばかりでうっすらオレンジ色の澄みきった空のきわや、すっかり葉が落ちて寒々しい木立をでかい石に座ってぼーっと眺めて、暮れなずむってこういう感じ?なんて思いながら缶チューハイ片手に贈る言葉をまた聴いてたら泣けてきてしまって、しまったハンカチ持ってこなかった、と止むを得ず部屋着の袖口で涙をぬぐってました。真冬に。丸い月が出てくるまでそこに居たかったけど、涙と暗さ寒さであきらめて帰宅。

西の空の真ん丸な月と、橙色に染まった夜明け前の東の空が、美しすぎる午前六時すぎですい一日になりますように。
 

2016年1月24日日曜日

今更

考えてみるとここ二週間ほど電車で都内まで出かけたりしてなくて、かと言って家で身を入れてひきがたり練習してるわけでもなく(…なんとかしなきゃ!)演奏にやや飢えてる状態なので、仕事の行き帰りやちょっと外に出たときなんかにiPodで何気なく聴く音楽が心に染み入ります。自分で演奏するようになった前後の時期は特に、好きな音楽の幅をなるべく広げたいと思ってレンタルでよくCDまとめ借りしてはパソコンに落としてたから、全曲シャッフルでiPodで音楽を聴いてると記憶に定着してない曲がいっぱいあって。リスがどんぐりをしこたまため込んで地中に埋めてそのまま忘れちゃうようなものでしょうか。褒められたことじゃないのは重々承知しておりますが。

そんな感じでこないだたまたま大橋トリオが宇多田ヒカルのstay goldをカバーしたのを聴いて、一昨年の宇多田トリビュートを改めて頭からじっくり聴いてみたら、どれも聴き応え十分だったけど今の気分には大橋トリオのしっとり感がやはりぐっと来て、そういえばtravelingのカバーもよかったっけと思い出して聴いてたらこのカバーにぶち当たって衝撃を受けたのが昨夜の仕事帰り。



学生だった頃、卒業式がどうにも好きになれなくて。学校というもの自体あまり好きじゃなかったし、お決まりのように泣く女子とかわかんねーって内心ずっと思ってました。そんなわけで「贈る言葉」の「正しい」感じは当然好きじゃなくて、金八先生の暑苦しそうなイメージ(これも一度もちゃんと観たことない)も相まって、素直な心で聴いてみたことが一切なかったです。断固とした偏見を持って、いつも心をそらして聴いてました。さすがにメロディーは憶えちゃってたけど。ちゃんと聴いたら、もんのすごくいい曲ですね。アレンジも素晴らしく、ただただ感動しました。歌い継がれる曲にはそれなり理由があった。

カバー曲全盛の世の中ですが、わたしのカバー曲好きはとにかく矢野顕子さんの影響が大です。高校生のとき思い切って買ったCDボックスに素敵なカバーがいっぱいあって。 風をあつめても終りの季節も無風状態も全て、矢野さんバージョンが初めての出会いでした。ひきがたりカバーアルバム一枚目であるSuper Folk SongのSOMEDAYは、ラジオで原曲に慣れ親しんできたから余計に、こんな風に変えることができちゃうなんて!と衝撃を受けたものです。先日見かけたcero橋本くんのツイートの一部「音楽は誰のものでもない そこに尊敬があれば」 、名言です。そして、読書ってカバー曲みたいなものかも、ってちょっと思いました。
 

2016年1月21日木曜日

直線



この絵も素敵です。野内画伯の雪景色。

そろそろ読書感想文また書きたいな、というか書かなければと思って、文章のリハビリを兼ねてブログを久しぶりにやや頻繁にアップしてみてますが、大し内容なくてすみません。と最初に謝っておきます。

柴崎友香さんの「パノララ」、とってもよかった!芥川賞受賞作も含めて最近の作品は全く読んでなかったけど、職場の比較的新しめの小説を置く棚で真っ赤な背表紙と幾何学模様っぽいフォントにふと目を引かれて、手に取ってちらっとめくってみたらば、目に飛び込んでくる文章に抵抗が全くなくて水浸透するように自分の中にすーっと入ってきたので、これは読んでみなければと思って借りてきたのですが、ちょうど自分内の今のテーマと被っていて、どんぴしゃりな内容でした。すーごいよかったー。そして、やっぱり好きな分野に関する感覚や勘は大事にするべきだなと、改めて。感覚とか勘が正常に作動するコンディションを保つことも含め。

しかしどうして、人間って、家族のことが絡んでくると特に、一筋縄で行かないんでしょう。1+1=2、みたくストレートに話が進まなくて、にっちもさっちも行かないことが多すぎる。摩擦が多すぎて日々ぶつかってばかりで、ちょっとしんどいです。もっと直線的に生きたい。無理だけど。長い目で見ればこれも必要なプロセスなんだろうなという気もします。大変なことも多いけど、結局、こういう家族でなかったら自分は今こういう人間に育ってなかったわけですし。

今朝、自室の机の片づいた書棚を布団からぼんやり見上げてたら、自分が小学生低学年の頃に亡くなった父方の祖父の面影がふいに頭をよぎりました。幼い頃に遊びに行った田舎で、縁側に面した日当たりよい祖父の書棚には沢山の本が整然と並べられてました。どんな人だったのか記憶にないけど、穏やかそうな印象だけおぼろげに残ってます。何故か、祖父の一部は自分の中に生きて受け継がれているように感じて、父や家のことを心配してくれてうな気がしました。

ところで、月のきれいな遅番の仕事帰り、雪の残る道を自転車押して歩いてたとき、全曲シャッフルしてたiPodからこのカバーが流れて、ちょっと感動的でした。



告知を一つだけ。
来月の16日火曜日、シボネボルケで、「みやもとまつおとおちゃ」ということで、今回は夏子という音楽デュオをやっていて漫画家の松田松緒さんとかわるがわるでBGM的演奏をやってみようかなと。詳しいことは何も決めてませんが、もし来れる方いましたら、どうぞおたのしみに~。

2016年1月19日火曜日

雪の降る夜


知人と飲みに行く約束をしてたけど風邪でキャンセルとなった日曜日の夜、久しぶりに近所の飲み屋さんに足が向いて、カウンターでふきのとう天ぷらなど食べて飲んで、帰宅してぱたりと寝て深夜に目が覚めたら、雪でした。翌朝は仕事休みだし、降る雪にテンションがにわかに上がった私は、さらにちびちび飲みながら明け方までネット見たり外を眺めたりして、わけもなく起きてました。通勤などで大変な目に遭った方には申し訳ないのですが、雪好きとしては心はずむ夜でした。水気の多いぼた雪っぽい雰囲気で、容赦なく降り積もる感じ、一昨年の豪雪をほうふつとさせられました。「しんしん」と降る雪の、かすかなノイズの音量が気もち大きかったような。本当は、さらっとした雪がふわっと積もるのが一番好きです。天候も変わってきてるのかな、やっぱり、と思いました。

2016年1月16日土曜日

一回性




一昨日はバンドでレコーディングとミックスでした。
ここ最近マリンバの寺さんがcirce(来月アルバムが発売になります!楽しみ!)のレコーディング用に買い揃えている機材を、音色でもちゃっかり使わせて頂いて、基本せーのの一発録りで先月レコーディングしたのですが、一昨日クラリネットなど少しだけ重ね録りしてミックス作業を行いました。公民館の音楽室は音楽スタジオに比べて料金が格段に安く済むのでとても助かります。寺さんには録音のエンジニア的作業まで担当してもらって、足を向けて寝られないとはまさにこのこと。ありがとうございます。今後、かねてからのお知り合いにマスタリングとジャケ絵をそれぞれお願いする予定です。DIY万歳。春には完成してるといいな。

録音した六曲のうち、一曲だけ友達の曲なのですが、他は自分が2010年から2015年にかけて作った曲です。たまに訊かれるけど、ウクレレを人に習ったことはなくて、子供の頃エレクトーンを習っていて吹奏楽部でクラリネットをやってたから音感は何となくあるので、できない状態でやれることやりたいことをフックに(そこはあえて狙っているところでもあります)曲を作って練習していくうち、徐々に弾けるようになっている感じなんです。ただ、そのときどきで自分ができる精一杯を駆使して曲を作ってきたので、歌詞の内容も含めて、どれほど拙くても、そのときにしかできないことだったなと改めて感じずにはいられません。どの曲も、バンドでやることを前提にして作った曲ではなくて、ただただ個人的なものなので、音色で寺さんとサガイくんと一緒に演奏してもらって、今回こういう形で録り終えた音源を改めて一人で聴いてたら、何の夢だこれ?という気がしました。ちょっとだけ。

音色の名刺がわりになるような音源を作りたい、いや、どうにかして作らねば!ということで、制約のある中えいやっと作り上げたので、各々の演奏も納得いくものではなかったりしますが、それも含めて、今しかできないことが形になっている気がします。音色は、楽器の編成も変則的だし、バンドとして手本にしてる音楽は基本ない状態でやっているので、これから続けていくにしてもどんどん変わっていくだろうし、そもそも今成立してることがすごいなと思います。寺さんもサガイくんもほんとすごいことやってくれてるんですよ!(←興奮してきた)

音源を手にしてくれたどこかの誰かが、多分音色を気に入ってくれるような人は音楽好きでいろんな音楽聴いてる人だろうと思うんですけど、今日は音色を聴きたいな、聴こうかな、という気分になったとき、他のバンドじゃなくて音色じゃなきゃ!っていう音になれたらいいな。ささやかなようで大それた夢かも。

2016年1月12日火曜日

煤払い



マムアンちゃんどんだけ気に入ってたんだ私、ってきっと後になってブログ見返したら思うだろうな。
ほんとは自分で写真撮って載せたいんですけど、携帯できれいに撮れなくって今。パソコン(XPのまま)と携帯(五年半使ってるガラケーさん)はいい加減そろそろどうにかした方が…と思いつつ、だらだらと現状維持してます。

普段からそんな感じなので、ここ何年も年末の大掃除すらろくにやってなかったのですが、元旦から唐突に自室の大掃除を始めました。どういう風の吹きまわしか自分でも謎ですが、一月一日だけどよく晴れてるから布団干して掃除しよ、というところから何故か片づけスイッチがオンになり、壁を拭いて、驚くほどにたまっていた棚の裏のほこりを拭い去り、本棚や引き出しや戸棚の中を整理して、遠い二十代の残滓と向き合ったりした正月でした。プリクラとか出てくるし。

学校卒業して鳥のバイトして実家に戻ってきてワーホリ行ってバイトしてネットで文章書くようになって、その間に何度か入院して、今の仕事を始めてライブに通い始め、人前で演奏するようになって、震災があって、しばらくぶりに入院したけどどうにか仕事に復帰できて、バンド始めて…。引っ越しするような人生の転機はなかったせいで、日々視界に入ってたけどちゃんとは見てなかったものや、奥にしまいこんで忘れていたものなど、長年に渡って積もり積もった雑多なものものに目を向けて、時間の経過を改めてひしひしと感じました。秋から仕事を減らしたせいで、気持ちの上でようやく余裕が生まれたことや、親が倒れたことは大きかった。マイルドな人生の転機を迎えてる感じです。先月はちょっと忙しくなりすぎたので、年明けはペースダウンして調整中。

本棚の裏にガラス製の青い林檎の文鎮が落ちているのを発見して、存在は憶えてたけどいつ誰にもらったのかはっきり思い出せないし、いつからそこに落っこちていたのかもさっぱり見当つかず、驚くのと同時に、ああ、こんなふうに人の記憶そのものも知らず知らずのうち偶然や本人の都合やらで取捨選択されて経年変化していくんだろうな…としみじみ感じました。そして、二十代の頃に江國香織が好きでよく読んでいたのですが、「神様のボート」という小説で、主人公が十六年ぶりに昔の旦那さんに会いに行ったときのエピソードをふいに思い出したので、昨夜しばらくぶりに手に取ってぱらぱらと読み返してみたら、自分が主人公と同じ歳になってたことにびっくり。よく読んでた当時は、自分がこの歳になること、全くの想定外だったし、よもや未だ実家暮らしでバンドなどやっていようとは。けどそんなに悪くない想定外のような気もします。それなりにいろいろあって、問題はいっぱいあるけど、まあ自分なりにがんばってきたよねと、自分によしよししてやりたい。たまにはね。

2016年1月2日土曜日

slightly different


2016年あけましておめでとうございます。
晴天続きの穏やかなお正月ですね。今年もどうぞよろしくお願いします。


今日は土曜日ですが、年をまたいで四日前であるところの29日火曜日、武蔵境スタットでひきがたり納めしてきました。初めて出演したスタットの年末イベント、この日はバンドでの出演者がほとんどで、お客さんも多くにぎわっていて、わたしは緊張を通り越して何故だかぼやっとしてしまったけど、それがかえってよかったのか、落ち着いて演奏できた気がします。光、裏側の月、怪獣の腕のなか(カバー)、ゆきどまりの四曲をやりました。ステージ上で楽器を片づけてるときだったか、たしか直接声をかけられたわけじゃなかったと思うけど、「度胸あるな」という一言が耳をかすめて、お!やった!と思いました。秋にやったひきがたりのライブで、緊張して散々な出来だったことが数回あって、ソロもう止めようかな…と落ち込むほどだったので、かなり嬉しかったです。スタットのスタッフ(そして大変いかしたドラマー)のまんぶーさんが司会進行で終始場を盛り上げておられて、自分のときもいろいろと前口上を工夫して下さって、出番のあとご挨拶したらば「今日は大勢の人に聴いてもらえてよかったよ!」とにっこりしてくれて、その口調と表情から率直にそう思ってくれてることが伝わってきて、胸がじーんとしました。スタットの皆様、いつも本当にありがとうございます。いいライブ納めができて幸せでした。イベント全体では女性ボーカルのバンドが多く、皆さんそれぞれにかっこよくて楽しそうで、いいなあ、わたしもライブのときジャンプとかしてみたい!バスドラの上に乗っかったりしたいよー!とうらやましくなりました。自分にとってロックバンドは永遠の憧れであるなあとしみじみ感じ入った次第です。いっぱいビールのんでいろんな方とお話しできて、とても楽しい夜でした。

冬至の日のシボネボルケ「みやもとおちゃ」も、友人知人をはじめ、多くの方のお耳にかかれて、とっても素敵な時間を過ごすことができました。足を運んで下さった皆々様、そしてシボネボルケに心より感謝です。クリスマスの大名曲「White Christmas」を、ここぞとばかりに演奏しまくりました。

夏以降、まんぶーさんもそうだし、おんがくのじかんの菊池さんも音色を気に入ってライブに呼んで下さって、とっても嬉しかったです。企画にお呼ばれしお呼びした星山さんとも打ち解けることができたし。ゆっくりな足取りでも歩みを止めなくてよかった、と心から思える2015年でした。何かを達成したわけじゃないし、ライブにお客さん呼べなくて申し訳なかったりする現状ですが、わずかだけど着実に前に進めた気がしてます。