2020年9月11日金曜日

季節は夏

残暑厳しいですね。日中の暑さがまだまだ半端ない。けど夜はだいぶしのぎやすくなってきました。網戸越しに涼しい風に吹かれるとやはりもう九月だなと感じます。

三日前ふと海辺のカフカを読み返したくなって、二日かけてのんびり読み終えました。先月夏の曲作って、そういえばこれまで夏の曲いくつも作ってきたし、下巻の終盤近く、「季節は夏だ。季節はいつでも夏だ。」という文章が出でくる件はいつ読んでも胸が熱くなるし、もう夏も終わりだしなーということで。冒頭から最後まで通して読み返したのは随分と久しぶりだった気がします。ナカタさんとホシノ青年のやり取りは大好きでそこだけは何度も拾い読みしてきたけど、正直、カフカは生真面目で重すぎてなんかちょっとなーと思ってて。けど改めて今読んだら新たな発見がいくつもあって、これだから好きな本を何年かぶりに読み返すのはたまらんなあと。一番はじめの「ひどいひどい砂嵐」についての描写は、コロナ禍真っただ中の今読むと肌身に迫って切実に感じられたし、戦中の厳しさ貧しさに翻弄された人々の苦しみは今と決して無縁ではないことに気づき、そして初めて読んだときはホシノ青年と同年代だった自分が今や佐伯さんの年代に近づいていることに驚愕し、カフカくそ真面目すぎてようわからんと思ってたけど15歳で厳しい家庭環境に押しつぶされそうになりながら性欲やらオブセッションやらに苦悩しつつ君めちゃめちゃがんばってるね!偉いねーと年上の視点から見ることができて(前は私自身が子供すぎたのかも)、小説家として15歳の視点を描写できる春樹すごい、とかいろいろいろいろ面白かった。

読み終えて、これ春樹の小説の新刊単行本を初めて買ったんだっけな、と奥づけを見たら発行日が2002年9月10日、なんと明日は2020年9月10日ではないか!ちょうど18年前!と超びっくりしました。ウェブで文章書き始めてまだ数ヶ月で、キセルの音楽と出会ったか出会う直前くらい、そのあと調子崩して入院したりも何度かあったし、バイトや非正規雇用だけど図書館で働くようになるなんて思いもよらず、ましてや都内にライブ観に通うようになってサポートでライブ出たり自分でも曲作って人前で演奏したりするようになるなんて、当時は予想もできなかった。クロもミケもまだ幼くて元気溌剌で、祖父も叔父も無論弟も生きてて父もまだ一緒に住んでたけど、先が見えなすぎて不安しかなくて、付き合ってた優しい人のことも傷つけてしまった、若かった当時に戻りたいとは全然思わなくて、18年前も今も無職で人様に誇れるようなこともなければ相変わらずバカみたいに不器用に右往左往してばかりだけど、そのときそのときでせめて自分なりに筋を通そうとは努めてきたし、その過程で様々な経験や人との関わりがあって、いっぱい笑っていっぱい泣いて、いつになっても色褪せない素敵なことも、思い返すのも痛いくらい苦しいことも、あってこそ今の自分だし。いろいろ滞って袋小路で勝手に息苦しくなってたことにも気づけて。今朝起きて、昔からの友人二人にメールとLINEの返事を送ったのですが、18年前もいてくれてて、もっとずっと前から変わらず続いてる大事な友だちで、新たに知り合った友人知人もありがたいことに沢山いて、そして18年前から「海辺のカフカ」の物語は自分の中に息づいている、こんなに豊かなことがあっていいのか。ありがとう。そしてもう18年間も私こうしてネット上に細々と文章綴り続けてるんだなー。ここを通じての出会いもかけがえのない大切なものだったと思ってます。

 


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