2017年3月13日月曜日

「三月」のこと



わたくしmiyamoと、ギターのサガイユウヤくんと、マリンバの寺内健輔さんの三人でやっている音色というバンドの「三月」という曲が、三鷹おんがくのじかんのレーベルTOWNTONEから発売になりました。是非ご一聴下さい!

話の発端は、今年の1月に鈴木伸明さんの企画でおんがくのじかんに呼んで頂いて、サガイくんと二人編成の音色で「三月」を演奏したのですが、ライブのあとに菊池さんと話していて、「三月」をうちでレコーディングして3月11日にリリースするのはどう?とお誘い頂いたことでした。一年半くらい前、やはりサガイくんと二人編成で演奏した「三月」の動画をアップロードして頂いたこともあるし、「三月」を菊池さんはとても気に入って下さっていて、作者冥利に尽きます。すぐさま寺さんに連絡を取って、是非お願いしようということになったのですが、メンバー三人の2月の予定が出揃ったのが2月頭で、菊池さんも含めてみんなの都合が良くてなおかつおんがくのじかんをレコーディングで使える日が果たしてあるのかどうか、正直、気が気じゃなかったです。都合がつかなければ今回の話自体が流れてしまうだろうし、バンドと菊池さんとの連絡係としてはなかなかに気を揉む日々でした(こういうときに必要以上に気負ってしまうのがわたしのよくないところです)。なんとか無事にレコーディング日が決定したのちに、事前に3人で練習に入る日も決まったんですよ!と菊池さんへのメールにふと書き添えたらば、ありがたいことに、ちょうどその日おんがくのじかんの予定がキャンセルになったからうちでやる?と言って頂いて、結果としてプリプロ的な作業もできたし、話が上手く進むときってこういうものだなあという感じでした。

レコーディングは初めてではなかったけど、これまで自分はベーシックが出来上がった状態での重ね録りを担当することがほとんどで、しかも曲の一部分だけ集中すればよいことが多くて、今回はまずウクレレとボーカルを録ってからギターとマリンバを重ねることになっていたので、逆に言えば、もしわたしでつまづいたらそこから先に進めないかもというプレッシャーがありました。長くないフレーズでも「はまる」と怖いのがレコーディング。一曲通してそれなりの形に残せるのか。これまでの経験から、少しでもよい状態に自分を持っていけるようにと、当日まずはそのことで必死でした。そもそも歌やウクレレが上手くて仕方ないからバンドをやっているわけではないので(むしろその真逆)。ちょっとでもやりやすいようにと菊池さんがさりげなく工夫して下さるのがありがたかったです。歌はもちろん、ウクレレもっと練習せねばならんと痛感しました。

めでたくウクレレボーカルを録り終えてギターの録音に入る前に、菊池さんの指示で四人なかよくエフェクターのプラグを磨きました。音が全然違ってきたりするらしい。機材マニアの寺さんと菊池さん、話がはずんでました。
普段はループを使って演奏しているところを今回は使わずに、ギターを叩いてリズムを刻むパート、普通にギターを演奏するパート、終盤でふわっとした空間系の音を出すパート、の三工程に分解しての録音となったサガイくん、途中はまってかなり辛そうなときもあったけど、がんばってくれました。リズム感もよいし、センスあるし、サガイくんの潜在能力は相当高い。


そして真打ち登場!という感じでマリンバ寺さん、この日は午後1時集合で、マリンバのマイクセッティング時の写真の時計は7時過ぎてますね。「俺来るのもっと遅くてよかったんじゃない?」と笑ってましたが、演奏はびしっと決めてくれました。特にアウトロのマリンバは気もちのこもった名演だと思うので注目(注耳)です。正直、録音を進めていく段階で、わたしのウクレレのアルペジオのリズムのよれだったり、気になる箇所もいくつかあったのですが、マリンバが全体をきっちりまとめて上げてくれました。みんなの頼れる寺さん。

最後、菊池さんの提案で曲のエンディングをコーラスで締めようということになり、急きょその場でフレーズをひねり出して、あれこれディスカッションしながら録りました。もっと元気だったら録り直したかったけど、体力も時間的にも限界だったのでこれでしょうがないや…という歌声ですが、レコーディングならではの素敵な仕上がりになったと思います。

必要あるかどうかはさておき、今回のレコーディングをかつ丼にたとえると、わたしの歌とウクレレがご飯と出汁、玉ねぎとカツなどの具はサガイくん、寺さんの有精卵が全体をふわっと美味しくまとめ上げて、器と盛り付けと仕上げにグリンピースを散らしてくれたのが菊池さん、という感じだなと何故だか思いつきました。このあいだ久しぶりに読んだ東海林センセイの丸かじりシリーズに感化された発想かもしれません。それくらい、とても楽しく有意義なレコーディングだったんです。

ミックスは菊池さんがデータを送ってくれてメールで意見交換するという形で進めましたが、これがまたなかなかに大変でした。四人がその場にいれば簡単な話も何段階かに分けなければならず、迫り来るタイムリミット。けど一番大事なのは関わった全員ができるだけ満足できる作品にすることだと思ったし、そこはどうしても妥協したくなかったので、連絡係はまたまた気張って頑張りました。菊池さんが丁寧に意見を汲んで真摯にミックスに取り組んで下さったおかげで、本当に素敵な音源となりました。

ジャケットには、2010年にZombieForeverの二枚組コンピにソロ宅録曲で参加したとき、曲を気に入ってブログを見て連絡をくれたことがきっかけで知り合った、丸山咲さん(twitterは@qca_qcaブログの写真を使わせて頂きました。丸山さんの写真いい感じだな、いつかソロ作とかジャケに使わせてほしいなと漠然と思っていて、菊池さんにジャケ写何か考えておいて、と言われたとき真っ先に思い浮かびました。わたしは三月はこの写真のイメージかなあと思ってましたが、菊池さんが希望も込めてこれにしましょう!と言ってくれて、なるほど!と納得したのでした。丸山さんどうもありがとう!!!teraworksこと頼れる寺さんが美しく繊細にデザインして下さいました。

この曲自体は2011年の6月に作りました。震災の曲を一つ作ってみるか、というようなスケベ根性が全くのゼロであったとは言えないかもしれないけど、単純に、被災していない自分にとっても、震災は身を揺るがされるような大きな出来事であったので、感じたこと考えたことをできるだけ盛らずに等身大に曲にしたかったのです。整理がついて終わった話ではなく、現在進行形だったので、形としてまとめるのにだいぶ難産だった憶えがあります。曲中盤~終盤は、震災前からもやもや悩んでたことがそのまま出ちゃってるし、自分の他の曲と同じ、単なる個人的な想いを歌ってます。ある意味では無責任な曲かもしれません。けど震災から六年経った今、2017年に、広い意味で受け止めてもらえたり、聴いた方の想いを投影したり、それぞれ自分の身に改めて立ち返るような曲にもしなれたなら、光栄です。

そして、この曲を震災の曲として形に残したいとご尽力して下さった、山形ご出身の菊池さんの熱意があってこその、今回のリリースとなりました。本当に、感謝しかありません。今回やってみて、世の中にマネージャーという職業が存在する意味を痛感したし、普段あたり前のように聴いている音楽やミュージシャンのすごさを改めて感じたり、曲を作って演奏する以外の過程がいかに重要かよくわかったし、へなちょこ兼業アマチュアミュージシャンとしてはとても勉強になりました。このブログに埋め込んだsoundcloudで一曲丸ごとフル試聴できますが、曲単体のURLに飛んで頂くと、iTunesとamazonから購入もできますし、歌詞もご覧頂けます。もし気に入ってくれたら、余裕のある方はポチってもらえると大変うれしいです。何卒何卒。

歌詞は英訳もつけました。以前soundcloudで海外の方から反応があった曲には、タイトルなどを英訳してたことも功を奏したのかな、という思いがあったので。ネットにはとりあえず種を蒔いておくと時として思わぬ花が咲くこともありますし。リアル辞書とオンライン辞書を引き引き翻訳した拙く堅苦しい英文を、キスミワコちゃんに全面的に手を加えてもらって、滑らかな英語に直してもらいました。ありがとうキスミー!!!言いたかったことを違う角度から見つめ直して、改めて、こんな内容の曲だったのかと驚いたし、ミワコちゃんにもそう言われました。ちょっと見比べてみると面白いかもしれません。

長くなりましたが、「三月」、そして音色を今後ともどうぞ宜しくお願いします。


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